2011年11月2日水曜日

29番

ロンドンの29番のバスは、連結タイプの長いバスだ。
後ろの車両のドアから入って、そこから降りれば運賃を払わなくてもいい状況が生まれるので、後ろの席は無賃乗車していそうな人たちが溜まり雰囲気はよくない。

あやしいという気配は、一瞬に肌で感じとることができる。日常生活で変な事に巻き込まれないためには、感覚的なセンサーに敏感であり、危機を早めに察知して、自分の立ち居値を確認して、なるべく早くその現場から距離をとっておくことが大事だ。ちなみに日本にいるとき、僕はこの戦闘能力がかなり落ちてしまう、でも海外の空港に戻ってくるとキリっと身が引き締まる。

さてそれでも混み合っている時間帯に29番を利用して後部に座って、家に帰る時もあるわけだ。そして、昨日も変なおじさんに出会った。
『サムソング携帯の時計のあわせ方が分からないので、これをちょっと直してくれないか。ニーハオか?んー。コンニチワでいいんかね?』
あやしいなぁと思いながらも、携帯を手渡してくるのでささっと調整してあげた。

結果から話すと、なぜだか分からないが、この人とあれよあれよと色んなことを喋った。
エジプト出身の白髪で黒人のおじさんはヨーロッパ各地を路上アーティストとしてふらふらと回ってきた。お父さんがガンビアで殺されてしまって、それ以来掃除屋さんとアーティストを交互にやっている。日本人は、リッチだから俺の作品買ってくれるだろ?だから東京にいくよ。友達が毎週電話で呼んでくるんだ。ベルギーは、ええぞ。アントワープはいいぞ。あそこは、ええ。今からな、(ロンドンの)北に住んでる女のところへ行くんだわ。出した本があってBBCにもインタビューされてさ、でもな印税は、全部チャリティーだ。

実に楽しい30分間だった。このおっさんは、どこから本当でどこから嘘なんだと疑い始めたけれど、それはそれでいいやと吹っ切れながら、僕も自分が考えていることをたくさん喋った。

さてさて、今日なにが言いたいかと言えば、
肌感覚の危険察知能力も大事だが、戦闘能力を高まった状態であれば、どんな場所においてもコミュニケーションをとってみる勇気も必要じゃないかな、自分。オープンマインドを保ちながら、危険な橋に近づいてもいいんじゃないだろうか、自分。ということでした。


※29番も数週間後には、下の写真のようなダブルデッカーに変更するようだ。
理由は、また調べておきます。